エミッタフォロアの奥義

emitterfollower

トランジスタには、これまでのタイプとは少し違った利用に、エミッタフォロアといわれる回路のタイプ(コレクタ接地)があります。

すこし変わった独性質の回路です。

 

ここにトランジスタの使用法の誤解と奥義(おうぎ)が隠されています。

リレーとトランジスタを決定的に分ける回路

リレーとトランジスタの利用方法は似ていて、同じような用途に使われることが前に出来てきました。

 

トランジスタのスイッチング回路

こんな風な回路でした。

トランジスタのスイッチング回路

 

トランジスタで動かすモノ(ドライブの対象)をこんな風にコレクタの部分に入れます。
一方リレーでも似ています。

 

それではトランジスタで こんなふうに下側にドライブ対象のものをいれたらダメなのか。。

リレーだと下に入れても同じです。

トランジスタ-エミッタ負荷

 

トランジスタの場合、下に(エミッタ部)に入れた場合、違う意味の回路になります。

 

そこに トランジスタのエミッタフォロアの奥義が隠されています。

 

エミッタフォロア(コレクタ接地)

 

Trに抵抗を入れる場合、

 

 トランジスタ-エミッタ,kレクタ抵抗

 

上に(コレクタ部)入れるのが

 コレクタ抵抗

 

下に(エミッタ部)入れるのが

 エミッタ抵抗   と呼ばれます。

 

 

コレクタに入れるのを、下に持ってきてエミッタ部に入れると。。
上でも下でもどっちも本流の通り道の抵抗になるんで同じような役割をしそうに見えます

 

・・・・ トランジスタの動作にもどると 

 

 トランジスタ電流-ベース,エミッタ,コレクタ

 

これがトランジスタの元でした

ベースを流すと 本流に大きな電流が流れる 

 

コレクタ と エミッタ で

トランジスタのスイッチング利用には通常、エミッタ部に抵抗はおきません

 

エミッタの電流の流れと働き

トランジスタ-エミッタ,kレクタ抵抗

 

  エミッタ・・・ここは本流の通り道であると同時に、ベースの通り道でもあります。

 

エミッタは ベースとコレクタの合流地点の道、ここに抵抗を置くということは、ベースの抵抗にもなります。

 

ここエミッタ部はベースとコレクタの合流点です。

 

ベースが流れると、つられるようにコレクタが流れる、それがトランジスタですが、

 

  1. トランジスタにベース電流が流れる まず ベースが流れる
    ベース電流が流れる図
  2. つられてコレクタ(本流)も流れると、
    コレクタ電流が流れる
    トランジスタにコレクタ電流が流れる その本流はエミッタ抵抗を通ります。ベースもエミッタ抵抗を通ります。

 

エミッタに抵抗があることで、大きな本流が流れ込んだエミッタ部で渋滞が起こり、ベースの流れを阻害する抵抗となります

 

ベース電流が流れると つられるように大きなコレクタ電流が流れる

 

これがトランジスタの作用ですが、

 

エミッタに抵抗がある場合

 

ベースが流れ、それで大きなエミッタ電流(本流)を流す
すると、ベースは自分で流した本流の大きな交通渋滞に自分自身が巻き込まれ、自分も通りにくくなる。

 

合流地点では渋滞が起きるとベースは、
自分が合図して大きな電流を流しといて、その渋滞に自分が巻き込まれる というややこしいことになります。

 

トランジスタの帰還作用のしくみ

 

ここからさらに

  1. 自分で増やした交通量の渋滞に巻き込まれたベースは、渋滞で流れが鈍りベース電流が低下
  2. ベース電流が小さくなるので、本流も減る =(トランジスタ本来の作用)
  3. 本流が減るとエミッタの渋滞緩和して、またベースが増える・・

 

ベースを開けると本流が流れるが、流れた本流がまた自分で蛇口を閉める・・・こんなことが エミッタに抵抗を置いたために起こります。

卵が先かニワトリが・・みたいに思えますが、

ベース電流

本流が流れ渋滞

渋滞でベースが減る

本流が減って渋滞緩和

ベースが増える

 

ベースが増えると また本流が増える。。

これはある点で落ち着きます。


ベース電圧が エミッタ電圧と だいたい同じになるあたりで 落ち着く。

 

このように、戻ってきて自分を調整するような作用は帰還作用と呼ばれる。

 

実際は Ve=VB-0.65v 程度にいつもなっている というのがエミッタフォロアです。

もし、エミッタに抵抗が無かったら・・・
どのような巨大な交通量が来ても、一瞬でグランドが吸い込む(理論上)  ・・・

 

グランドは偉大です

 

エミッタに抵抗を置くことで帰還作用をもつのはこのような一連の流れで考えると理解しやすい。
(この回路の型:エミッタフォロアはコレクタ接地とも呼ばれます)

 

同様の作用を持つオペアンプを使った ボルテージフォロアという回路があります。
(先にボルテージフォロアを体感しておきましょう)


それのトランジスタ版といったような性質の回路です。

エミッタフォロアの奥義

この型のトランジスタの回路はエミッタフォロアと呼ばれます。

 

emitterfollower

エミッタフォロア Ve=Vb-0.65v になります。(抵抗値には影響されない)

 

それでは実験してみましょう

Vbに可変電源をつなぎ変更出来たら簡単です
可変電源はみんな持ってるわけでないので分圧を使ってVb電圧を変更。

 

エミッタフォロア実験回路

エミッタフォロアー実験回路

 このような回路で VR1k を変更すると、ベース電圧Vbが変更できる

 

 ベース電圧を変更すると

 常にエミッタ電圧は Ve=Vb-0.65v になります。
(抵抗値に影響されない)

 

可変抵抗でVb1kで電圧を変更してみて、電圧Vb とVeの両方をテスターで測ると それにつられてVeの電圧が変わります (-0.65V程度低くなる)

 

   常に Ve=Vb-0.65v 

 

これが、これまでのベース電流が ×100倍ぐらいで本流に流れる電流増幅のトランジスタの振る舞いとは違った
トランジスタのエミッタフォロアといわれる型で、トランジスタの奥義の1つです。

 

何に使える??

入力(ベース)と出力(エミッタ)電圧ががほとんど同じ。。


これは先に出てきた 増えない増幅=活力ある通り道に 変えてしまう技

 

オペアンプの不思議な回路の型 ボルテージフォロアと似ています。

ボルテージホロワ オペアンプ

 

入力と出力電圧ががほとんど同じだけど、ベース電圧を変えると、同様にエミッタ電圧も変わる

そして、入力(ベース電流)はごく微小で、出力電流は大きい。トランジスタ版の ボルテージフォロア。。


でもその正確さなどではトランジスタはオペアンプに立ちうちできません。。


また、上の、エミッタ抵抗をおいた結果 ベースを自動的に下げるような力が出てくる働きは 帰還作用とよばれ、Trの安定化にも使われます。

 

電源回路について のところではオペアンプとトランジスタのエミッタフォロアをつないだ回路が出てきます。


エミッタフォロアの型でよーく考えればその調節原理もわかると思います。

スポンサーリンク
  • facebook
  • twtter
  • google+
  • hatena