電源を作る
電源の回路と実験用に使える小さな電源の制作です。
電源機器は買うものだと思っていますが、ここで作るのは手軽に便利に使える小さな電源です。
電源は手近に必要なことがよくあります。ちょっとした実験のとき、電池の代わりに試しに、そんなときに使える小さな電源。
目的により要求される電源の性能は様々ですが、あまり本格的な使用目的を考えず、簡単に作れる、手軽で便利に使える 実験に便利に使えるという用途を目指して作りました。
電源にも 電圧が変動するトランス式ACアダプター のようなものから 電圧が安定出力される電源
それもかなりふれの小さい高精度電源 などがあります。
電圧が一定になる電源は安定化されてるので 安定化電源とよばれる。
それとは逆にトランス式ACアダプター のようなものは 出力電圧がつなぐ負荷によって変わるのではっきりしていません。
これから作る電源機器は
家の中で簡単に使える役立つ小さなもので、
- 1つの電源ICで作れる
- 小さなケースで小型を制作
- ちょっと使用の便利な、電圧を変えられる安定電源
を目指して作ります。
作る電源
シンプルで、小さくて、電池の電源の代わりにもできるような電源を作ります。
仕様
- 短時間の使用 実験用
- 出力電圧 1.3V~9V
- 最大出力 9V 1A程度
- 使用時間 15分
これぐらいの電源が手近に使いたいと一番思う電源。
大きな電流を流せる大きなW数のものは発熱などで危険も出てきます。下手に作ると火事のもとだし、つないだ先の機器を壊すもとになる。
トランスを使わない、出力を小さめにすることでコンパクトな手のひらサイズの電源。
電源は市販品、自作品、キットといくつかすでに持っていますが、手のひらサイズ小型のものがあったら、と思っていたので
また増えても、手軽な用途に、持ち運びに。
簡単に作れて、手軽に使えて、ずっとつないでおくようなものとせず、実験のような一時的な使用 としました。
使用するICは、可変三端子レギュレータ317を使います。
可変三端子レギュレータICの電源
この三端子レギュレータのICを使った電源回路 よく知られています。
小さく簡単に作れ、実用にも役立つので、このICを使ったキットがいろんなところで販売されています。
電源のキットも様々あるのでわざわざ自分で作る必要はあるのかといえば、目的次第でしょう。
多分、電源はキットまたは自作などですでに自分で作った人も多いと思います。
このICを使った電源回路キットはいろいろ見かけると思います。
キットで作ると簡単で手軽
一番手軽なのは市販品。買ってきて使うだけ。
キットだと部品がすべてそろっていて、そのまま正しく作れば正常動作する。
あったら便利な小型の可変電源なので実用のためにキットでつくったり、それを少し改良して自分流にして使うのもいいかと思います。
キットで完成させ、でもキットは基板だけなので、ケース加工して基板を納めて実用機器にするのも造りやすい。
それでも周辺のSW、コネクタ類などを集め、ケースの加工なども必要で作るのはそれほど簡単でもないですが。
キットは手軽ですが、回路図を眺めてだいたいわかった、そして基板に部品を置いてそのまま作るのでわかったような気になってしまうもの。
>キットに学ぶ のように、最初の頃はわかるかどうかの線、回路がある程度は理解出来たなら、キットで作るより自分で部品集めて作ってみるのもよりくわかるものです。
部品をそろえるとき耐圧を気にしたり、手持ちの部品で代用するときにお手本回路と違うものを使ったりして、自分の回路ができる。
自分で作る機器
自家製作の場合は、抜いてはいけないところに手を抜くと、あとあとトラブルの種になったりします。
でも、そういう失敗の経験が非常に大事だと思うので、興味ある人は自分で作る、調べて自分流に改良、変更するなどして作ってみましょう。
自分で作るときの注意
ここを見てこれから作ろうという人なら、多分、回路や制作などに慣れていないのを前提として控えめに使用し、基本部分の制作の説明をいれました。(すでに作った人ならよくある制作、回路例だと思います)
制作ですが、今回のはコンセント電源につながる電源回路です。
動作する回路図と、それを基板に制作するのは全く意味が違います。
制作には、制作の、部品のいろんな知識や慣れが必要です。回路図はどんな配線を書いても書いた紙やPCから煙はでませんが、回路は容易に発熱、煙、そして火花を散らします。
多分、電子工作に慣れた人はすでに1つぐらいは電源を何か自作していることでしょう。
制作になれていると、作りながら 失敗したり、ICが焦げて壊れたり、このぐらいの電流流すと どれぐらい発熱あるかなと さわって
熱っ とヤケドしてしまったり。
または、ハンダつけ不良が原因で壊れたり、ショートしていて発熱していたり・・・
こういう失敗や痛い体験しておくと電子工作の危険度がわかっていたりするんですが、失敗の経験の無い人はある意味で 怖い物知らずです。
これから初めて作る人は慣れてない分、丁寧に作り、確認して、使いながら様子をみるつもりで。。
初期のころは試作の基板回路をいろいろ作って自分で実用することになりますが、きれいな製作品を作り始めると工作の違った楽しさもでてきます。。
10V程度の電源でも大きな電流が流せるので火事のもとに十分なります。
これから初めて作る人は慣れてない分、丁寧に作り、確認して、使いながら様子をみるつもりで。。
初期のころは試作の基板回路をいろいろ作って自分で実用することになりますが、きれいな製作品を作り始めると工作の違った楽しさもでてきます。。
電源IC
電源ICといえば、すでに出てきた三端子レギュレータ。
これが一番手軽で手堅く作れます。
今回作るのは出力電圧が変えられる電源で安定出力もの。
可変用に317といわれる可変三端子レギュレータを使用。LM317T を使用しました。
この三端子レギュレータは、入力された電圧を降圧し、安定化出力が出る。出力から電圧を検出する回路で可変出来るというIC。LM317性能もいいですね。
Vinから入力電圧を入れると Voutから安定出力電圧がでる。
電圧の変更はADJ端子でコントロール
LM317T
- 出力と入力の差が3V以上 40Vまで。5V出力なら、入力には8V以上必要
- 電流 1.5Aまで(要放熱板)
- 出力、温度に対して電流制限機能
電源の設計と製作
さあ、回路作りの設計と選定に入ります。
これから電源回路の制作に当たっての方針や仕様を決めていきます。
回路と制作の方針
コンセントにはACアダプターを使用
それを入力としてVinに。ボリュームを使って出力電圧を可変できる電源。
通常の電源
コンセントは100V交流です。これを
コンセント(交流)100V交流
↓
トランスで降圧(交流)
↓
ダイオード(直流)
これで降圧直流
↓
三端子レギュレータ
↓
出力
となりますが、トランスなどが必要で制作が大きくなるので
トランス
それを使わず ACアダプターを使用。
電源部の回路図 入力DC
回路図の入力の部分
この回路=入力 部には、DC(直流)を入力します
ACアダプター(トランス式)には
小さなトランスと直流へ変換ダイオードが入っているので
コンセント(交流)100V交流
↓
トランスで降圧(交流)
↓
ダイオード(直流) これで降圧直流
~~~ここまでを ACアダプター が担当~~~
↓
~~~ここから電源回路~~~
入力 (ACアダプタから接続)
|
電源回路
|
出力
ACアダプターを使用することで制作が小さく簡単になります。
ACアダプターを電源回路につなげば、直流になった電気が入っているので、電源回路は小さくてすむ
ACアダプター 12V1A程度のものを使用。
仕様
短時間の使用 実験用
- 出力 9V 1A程度まで
- 出力電圧 1.3V~9V
- 連続使用時間15分程度
電源をずっとつないだままにはしないような実験用の短時間の使用目的としました。
もっと大きな出力も可能ですが、どんな人が、どんな制作をするかわからないので、控えめにしてあります。
あんまり失敗の経験(ICを触ってヤケドや、煙が出るなど)のない人は控えめ、短時間の使用で試しながら使って実験してください。
各部の決定
R1抵抗
317は出力に10mA以上流れていないと出力が正確にならないのですが、この回路は最低電圧1.25Vで無負荷の場合、ADJの抵抗の電流で10mAになんとか達する。
出力1.25Vで 120Ωの抵抗で約10mA
ということで、可変抵抗0Ωのとき10mA流れるので無負荷でも120Ωの抵抗値で最小電圧1.25Vということになりました。
VR1kΩ(可変抵抗
使用する抵抗から、可変抵抗VR:1k=R2 で最大にすると出力電圧は計算値で
Vout |
= |
1.25V × |
R1+R2
R1 |
= 11.67V
これで出力は 1.25V~11.67V の範囲の出力 となりました。
(このICは温度によっても多少出力が滑ってくるのであんまり厳密にはいきません)
可変電源といえば電圧計が必要ですが、つけると製作が大変でケースも大きくなる。
ちょっとだけ工夫してテスターを一時接続し電圧計代わりにする方法にしました。
次の制作にあります。
【保護回路】
保護ダイオード
コンデンサC1に対しD1 C2にD2
回路図にあるヒューズF1は実際には省いています。
あるのに超したことはないですが実験用の短時間使用が目的で、それとケースが小さく、ヒューズや取り付け部品も当然必要となるので部品を減らしました。
この電源ICは出力短結(ショート)や過熱による保護回路が内部にあります、通常、ACアダプターの内部にもヒューズはあると思います。
【放 熱】
電源ICは出力を大きく取り出すとすごく発熱します。
発熱も計算式で目安がわかりますが、経験ではよく使う、小さいヒートシンクでは大きな電流を流すと役不足です。
発熱は出力を大きく取り出すほど上がり、放熱もケースの形状や製作で放熱が制限される。温度が高くなりすぎるとファンを付けるしかなくなります。
よく使う、小さいのより一回り大きくて長いもの(左側)を使用することにします。
大きめに超したことはない。
このICは耐熱温度が高め、でもケース外側にヒートシンクを出す構造にしたので触ってヤケドするような温度までの出力で使用すことは危険なので、ある程度で出力を制限することになります。
経験上、このあたりの最大出力で15分ぐらいならヒートシンクに触れる温度程度で収まるでしょう。
ここまで 仕様と設計、そして最低限に必要な部品選定ができました。
このへんまで決まると、基板作成もでき実験的にテストも可能になります。
初めて作るときはこの辺でだいたい組んでみてテストなどをするものですが、
同様の電源をすでに何度か作っているので。
(さらに再び作る理由は次回の製作で・・)製作に向けて部品やケースの選定です。
ケースにいれてコンパクトに作ることにします。
次は、使用部品 、制作について 実験用電源の製作②
- twtter
- google+
- hatena