キットにもいろいろあるが
各社からキットはいろいろ出ています。
その利用目的によってもキット選びは変わってきます。説明書通りに組み立てると必ず動くのがキットですが、回路図がついていて、プラモデルのように組み立てる楽しさがあるのがキットです。
自分の段階から見て分類してみると
- 動作も、回路も理解できそうで 原理を学ぶ、勉強の材料になるもの
- 回路は理解出来ないが、組み立てたらそのまま動く、市販品を買うよりも安いし、作って実用にもなるキット
- キットを自分で組み立てる上に、同様機能の市販品より高いが、なぜか作ってしまう。。。というキット
だいたいこんな風に別れるのではないでしょうか
電子工作を始めたばかりだとやはりキットを組み立てて慣れるのはいい方法だしよくあると思います。
そのキットの機能が欲しいし、でも回路は理解できるかどうか少し難しい という線のキットが一番ためになるかもしれません。
もし原理は理解できずに組み立てただけでも、少しでも回路図を眺めたりしながら組み立てると妙に気になるもので、レベルが上がるといつかその回路の原理が理解できるようになったりするもので、自分で組み立てるということは、自分で回路を組んで実験してみるのと同じように身になるものです。
しかし、
3.のように理不尽なキットもあります・・
これだと自分で製造行程を担当しているようなものですが、完成品の方がずっとキレイで、買った方が安いけど、なぜかキットを自分で作ってしまう方を選んでしまう・・・というのも、工作少年心なのかもしれません(笑)
意外な回路のキット
秋月通商のキットはいろいろあってキットとしてはよく知られたものです。
しかし、組み立てにやさしい説明などなく、組み立てる上での部品の簡単な説明や回路図があるぐらいで、初めての人には難しいかもしれません。
(秋月のキットは初心者には難しいキットだそうです。確かに説明が少ない)
昔、その中でも意外に驚いた回路があるので少しだけここで。
一般にキットは、事前に回路図を見れるものは少なく、どんな回路なのかわかりません。充電キットを興味津々で注文したことがありました。
電池の充電キットなのですが、事前に回路図を知らなかったので
値段がずいぶん安いけど、本格的なものを想像して、
時間が来ると切れる 時限OFFもあるだろうし、交流を変換するのは? 充電電流の調節は。。
どんな回路なのだろうか と興味がずいぶんありました。しかし、届いて驚きました。。コンデンサや抵抗が入っているだけ。。。
ACアダプターもトランスも使わず、こんなモンに100Vをほりこんでいいんだろうか?とあまりにシンプルな回路に驚き、疑いました。
これは私が書き写した回路図です。間違いがあるかもしれません。
秋月通商は迷惑がかからない形なら 回路図をHPに出してもいいそうなので、、これが回路図です。
交流から直流に変換するのに、このように実用回路にできることを、この回路で初めて知った回路です。一時、ざっと計算式で計算してみたことがあります。。。実測と かなり一致していました。
交流の教科書によく出てくる内容をそのまま実用にする回路です。
交流回路でのコンデンサ
コンデンサは直流は通さず、交流は通すと習います。
しかし、直流もコンデンサが空の状態からのつなぎ始めは通します--プルアップのナゾのところのように(突入電流などと呼ばれる)
これを軽視していると、スイッチを入れた瞬間に想定外の電流が一瞬流れることもあります。
コンデンサは交流は通すのですが抵抗のように働きます。
直流での抵抗
直流に抵抗をつけるとこう、、これは慣れたものです。
これを交流にコンデンサをつけると、上の直流に抵抗を入れたのと同じように抵抗として働き、容量リアクタンスと呼ばれ、単位もΩで表されます。
交流でのコンデンサ

交流に、抵抗とコンデンサを入れた回路
交流回路でコンデンサと抵抗を混在させると、両方単位はΩで、直流回路なら2つは足し算ですが、 交流回路ではこの2つは次元が違うので 単純に足し算することが出来ず、ベクトル和になります。
容量リアクタンス Xc
容量リアクタンス Xc
Xc |
= |
1
2π f ・ C |
[Ω] |
C: コンデンサ容量 (1uF=1×10-6)
直流で抵抗を入れて制限するように、交流にコンデンサをいれています。
トランジスタなどでもコンデンサで回路をつなぐことはよくあるので 参考にこの式をざっとみると
f:周波数が大きいほど、 Cコンデンサ容量が大きいほど、抵抗[Ω]は小さくなる
この辺は一度は交流の学習の教科書に出てくる計算ですね。
このキットの電流は説明書では14~20mA程度(並列に付け足すコンデンサで電流は変わる)
上の回路図のようにした場合は9V電池の充電電流は実測30mA程度でした。
また、下記のリンクから電源を自作してみるのも。
コンデンサを直流での抵抗と同じように使って勢いを弱め、ダイオードブリッジで整流して直流にしてツナダイオードを使う 交流→直流 変換回路です。
要するに コンセント交流電源を コンデンサや抵抗、ダイオード、などだけで直流に変換している回路です。
交流、直流の変換
交流→直流の変換には
ACアダプターを使う、トランス、ダイオードブリッジを使う
そして三端子レギレターを使うのが一番よくあります。ACアダプターは今時安いので手軽でしょう。
しかし、初めてこのキットを興味津々で手に入れたとき、このような簡易的な方法で実用できるのをこの回路で初めて知りました。
学ぶはまねるから・・・キットはやっぱり学習の先生です。
このタイプの回路を簡単に作ろうとするなら、ACアダプター、三端子レギレター を使い、定電流回路にするにしても三端子レギレターを使うことをほとんど選択すると思います。
また、原理としてこの方法を知ってはいて、このキットの回路を見て この方法かぁ、と思う人も多いかも。。。。
でも、実際、見たらわかる、原理を知ってはいても、1からそんな方法を実回路にしようと適用出来る、作れる人は少ないのでは、と思います。そんなことを考えると自分の知っている基礎の回路にまだいろんな意外な型の回路のヒントが埋もれているのかもしれません。
意外な印象深い回路です。
この方法での電源工作の例 は PICer の e電子工房 HPで 作品例として紹介されています。
作品 - PIC用トランスレス電源
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