デジタルICを使ってみる
デジタルとアナログは日常でも使われる用語になりましたが、デジタルとは1,0の世界です、
ということは知られていますが、1 と 0 が何かは知らない人は案外多いものです。
1 | → | 5V |
0 | → | 0V |
となっていて、1 と 0 だけ でその間に 0.4 とかが無いのであいまいさがないのがデジタルです。
1,0の信号だけで論理や判断を作るのがデジタル回路です。
デジタル回路では
- 1 (5V) ⇒ High(ハイ)
- 0 (0V) ⇒ Low(ロー) と呼びます。
アナログ回路から誰が最初にこんな方法を考えまとめ上げたのだろう? と不思議ですが、 デジタル回路は論理の組み立て方が簡単です。
- 5V ⇒ High(ハイ)
- 0V ⇒ Low(ロー) ですが、
それでは 4.95V は HIGH ではないのか?
(少しぐらいズレることもあるのでしょう)
4.95Vも HIGHです。
なら 4.5Vは?
といわれれば それもHIGHです。
何ボルトまでを HIGH LOW とみなすかは ICの種類によって異なります。
それではまず NOT ゲートと呼ばれるICを使ってみます(インバーターとも呼ばれる)
初めてムカデ形のICを使うと、 電子回路を扱ってる! と実感がわくものです。
「コンデンサを試す」から始る回路はややこしいですが、デジタル回路はその考え方が明快です。
ICの扱い
ICの扱いには決まった約束があります。
ピン番号
まず、ICのムカデは 左右どちらかに切り欠きがあるか、または角の方に ○ がついています。
切り欠きのある方を左側に向ける、
または ○がついている方を左下になるように向ける
そして各足のピン番号が
図のような周りになると決まっています。
保管
保管は むき出しのままだと、静電気で壊れてしまう種類のICもあるので、種類によっては導通スポンジに刺して保管すべきものもあります。(電子部品屋でICを買うと、必要なものは導通スポンジに刺してくれたりします)
ICも小っさい機器なので、電源が必要です。
Vcc に 5V と GND をつなぎます。(下の図)
ICの種類
ここで使うのはゲートICと呼ばれる中のNOTのもので インバーターと呼ばれ、よくLEDの点灯などに利用されます。
同じ機能のICでも種類があり、 TTL と CMOS
CMOSで インバーター(NOT)ICの 74HC14 を使用します。
そして、定格(使用限界値)を超えることでも使用します。つまり、”範囲外の電圧、電流になることもある” (しかし、ほとんど定格内です、超えても大きく定格を超えるようなことはしない)
定格電流範囲はオーバーしても実験程度の短時間ならICはそんなに悪影響がでるものではないので。
オーバーするとICに良くない、長い目でみると徐々にいたんで効いてくる ような影響がでます。(オーバーの度合いにもよりますが)
将来いつか壊れたとしても50円程度の安いものなので、ここでは実験として使いやすさを重視し、定格範囲はあまり気にしない使用ということにします。(私のは壊れたことはないです、壊れるのはほとんど誤接続、+、-逆などです)
インバーターICを使ってみる
デジタルICに入るわけですが、インバーターICはムカデ型のハイテクな見た目とは違い機能は単純なことしかしません。
インバーター は ゲートと呼ばれるデジタルICの1つで、入力と反対の出力が出ます。
ICも小っさい機器なので、電源が必要です。 Vcc に 5V VssにGND をつなぎます。
このようなNOTが6個入って
いるのがNOT(インバーター)ICです。
ICの足がいっぱいあり複雑に見えますが、同じNOTのゲートが6コ入っているだけ
インバーターICの機能
どんな機能か 1ピン と 2ピン でみると
1ピン | 入力 | ゲート | 出力 | 2ピン |
5V(HIGH) | ⇒ | NOT | ⇒ | 0V(LOW) |
0V(LOW) | ⇒ | NOT | ⇒ | 5V(HIGH) |
「1ピンが入力で5Vを入れると 出力が2ピンで 0Vになる」
入力 High で → 出力 Low と
入力と反対の出力を出す というのがインバーターICの機能です。
とても単純な機能ですが、まずはこれでLEDを点灯させることをしてみます。
デジタルICの動作を試す(インバーター)
実験回路 を作ります。
ここでは電源は乾電池4本 = 6V にしました、充電式の1.2V電池×4本=4.8Vでも大丈夫だと思います。(本来5Vを使うべきですが、ここではこの6Vを5V(High) として扱います)
ICも電源が必要なのでの電源にこの電池4本を入力します。
(5V電源があればそれの方が良い)
実験回路
このように配線し、ピン2にLEDと抵抗(1KΩ程度)をつなぎ、電圧がくれば、これで光ります。
ピン2にはLEDがつないであります。
- ピン1に 0V(LOW)を入力すると 出力ピン2が 5V(HIGH) になりLEDが点灯します。
- ピン1に 5V(HIGH)を入力すると 出力ピン2が 0V(LOW) になりLEDが消灯します。
①5V を入力
メンドウですが、可能な人は別に乾電池4本を使用し、このようにつなげてみます。
(別電源使用の練習、できるなら一度は別電源を2つなぐのもやってみましょう 無い人は下の③の方法で)
+側5Vを、ピン1に入れるため、ピン1につなげます。
その-側をどうするかというと、もう一つの電源の-につなげてしまいます。
このようにGNDは全て1つにつなげてしまうのです。
>豆電球 → 電気回路図に入る
のグランドの説明でもありますが、GNDは全部一緒の下水にしてしまいます。
上の回路では 1ピン にHighを入力するとゲートIC(NOT)が反対の出力にし
2ピンが Lowとなり 0VなのでLEDは点灯しません
②0Vを入力
今度は0Vを1ピンに入力します。
電源-のGNDを配線でそのままピン1につないでみてください。
LEDが点灯します。
1ピン にLowを入力するとゲートIC(NOT)が反対の出力にし
2ピンが Highとなり その5VでLEDが点灯します。
③再度5Vを入力
5Vの方の線を入力につないでみてください。LEDは点灯しません。
(別に入力用に電源を作りましたが、このように電源の+から引っ張ってきて、ピン1に入力しても同じです)
ちょっとICがわかったような気になるところです。
①を簡潔に回路図にするとこうなります。
回路図には
インバーターの記号には
電源ラインは書きません。
(5Vを1ピンの入力に接続したところ)
あえて書くならこのようになります。
電源の-(GND)が
全てのマイナス(GND)
の共通のGNDになります。
別電源を使わない場合は
一番下 3番目の図のように、
電源から入力する+、-を
取ってきます。
電流を吸い込む
「出力が反対になるだけか」 と思いますが、次にちょっと回路を変えてみます。
LEDの配線を変え、ICの出力ピン2→GNDにつながっていたのをこのように
電源から始まり→ICの出力ピン2に流れるように入れてしまいます。
1ピンへの入力は、電源から並列に取ってきて(点線)、1ピンにつなげます。
これで1ピンに HIGH の入力をします。
ピン1の入力にHighを入れると さっきとは反対にLEDは点灯します。
入力に5V(HIGH)を入れると、出力は0(Low)となりましたが、
出力は0Vになるだけでなく 0Vなので電気を吸い込むことが出来ます。
これをもう少し簡潔に、回路図らしく書くとこうなり
回路図にするとこうなります
(普段は書かない電源ラインがゲート記号に書いてあります)
記号が 下の左のようなので 回路に割り込ませる部品のように見え、入力と反対の出力を出しているだけのようですが、ちゃんとしたICなので、電源がつながっていて、入力に応じてゲートを開け閉めします。
Highが1ピンに入ると、このゲートICは、出力の2ピンをGNDにつなげ(右図の太線)
2ピンとGNDがつながり、0V(Low)となると同時に、GNDとつながるイメージです。
電源とつながって配線されたLEDは、行き先がLowになることで、GNDにつながるようなイメージで点灯します。
このように入力と反対の出力をだすのがNOT:インバーターICです。
出力がLOWのときは吸い込むこともできます。
・電流をピン足から出す - ソース電流
・電流をピン足に吸い込む - シンク電流 と呼びます
インバーター(NOTゲート)ICの機能はコレだけです
ここで、もっと面白いことをしてみよう と
5Vの電圧が出るので
↓
乾電池 1.5V×3個ぶん 以上の電圧!
↓
モーターが回せるぞ !
と思いついた人 は以下をよーく読んでください。
ICの足に直接モーターなんてつないではいけません!
電圧とは圧力ですが、太い土管での5Vの圧力と ストローの5Vの圧力ではまるで水流が違います。ICの管はストローの方です。圧力は5Vでもストローの流れのような水量です。
それで水車を回そうとするのは・・・・
ICの足のストローのような管から出せるのは 数mA~10数mA です。一方、モーターは小さいものでも、300mA~1Aの電流が必要です。
ホントに接続するとICはそんな電流を流そうとしますが、流れません。ICにダメージが加わり最悪壊れます。(私も最初は、あれこれと壊したクチですが・・・)
この範囲(定格電流)は一時的に少しぐらいオーバーしても大丈夫ですが、長い目で見ると度合いに応じて、少しずつICがいたむことになります。
デジタルICの利用
あまり多くの電流を流せないこのようなインバーターICですが、身近で何に使うかというと マイコンなどの周りの例では LEDの点灯回路のバッファなどに使われます。
このようにLEDを吸い込みでICにつなげ、別電源でLEDを点灯させます。
普通のマイコンでは直接つなぐと数mAしか流せませんが、そのHigh 、LowでNOTゲートを操作し、このようにして別電源でもう少し大きな電流を流し、1つのICで最大6コのLEDを操作することができる。
同じインバーターのTTL系の74LS06 などは 多めに電流を流せるので、入力にマイコンを使い、数mAを流して ゲートを開き、 電流を吸い込む の方法で、LEDを点灯させる方法です。
さらに過電流が流れたりして被害をこうむるときも、この安物ICに死んでもらって、盾にして被害を止めようという利用です
デジタル信号とは
ここで、試した 5V(High)、0V(Low)の2つしかないデジタル信号ですが、電圧は5V(High)でも、数mA~10数mAしか電流を流せないのが多くのデジタルICです。
こんなものを何に使うのかと言うと、命令としてデジタル信号を扱います。
信号としてのデジタル
人の仕事でも命令と実行とは組織が複雑になると たいがい、行う人が別です。命令が入ると、その命令を受けて実行部隊が行動する。。。 だから命令は大声 でなくても小声でもちゃんと伝わればいいわけで、デジタル信号High,Lowも貧弱な電流でいいわけです。
つまり、デジタル信号の電流、電圧は命令を伝える信号で、動力のエネルギーになる電力ではもともとないのです。
実行部隊(ドライブ回路)
デジタルの信号の命令を受けて、仕事をするのが実行の回路で、命令がくれば、それを着実に実行する回路です。
その貧弱なデジタル信号の命令を受けて、モーターを回したりと仕事をする実行回路として活躍するのに使われるのが、トランジスタやリレーなどです。
命令を受けて動作をさせようとする実行部隊の回路は、ドライブ回路、駆動回路のように呼ばれます。
- twtter
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