光に反応する回路-光センサ回路

CDS実験回路1

部品とかを使ってみることばかりやってみたので、そろそろ動く、反応する回路というモノをつくりましょう。やはり電子工作 初めの王道は 光モノ。 ここまでの知識で、トランジスタやオペアンプなどもからめて、光センサのCDSというモノを使って、光の状態を関知してそれに反応して動作する回路を作ってみます。

光センサを使う

CDS という光を関知する安価なセンサがあります。

 

CDSsenser

 

なんやかんやの物質を混ぜ合わせていると意外な電気的特徴が出るのが半導体で、CDSはカドミウムと硫黄を混ぜ合わせた半導体です。


このCDSは当たる光の量で抵抗値が変化するというセンサです。
この抵抗値の変化を利用して、その変化で動作するというLED点灯する電子工作の回路を考えます。

 

CDSセンサを試す

また最初にCDSがどんなものか、ちょっと光を当てて動きを見てみましょう。
cds-test回路


光の量というのは照度計が無いとなかなかわかりにくいものなので、ここでは夜、室内で電気をつけたとき、消したときで CDSの抵抗値をはかりました。

 

  ●室内で電気をつけたとき    -   約7.5KΩ

  ●室内で電気をさえぎったとき  -   約120KΩ

 

このようになりました。

手をかざして光をさえぎったり、電気を消したりして抵抗値が変化することを試してみてください。

 CDS-R_照度グラフ

 

CDSの抵抗値 と 明るさ の関係はだいたいこんなグラフになります。

 

 

この明るさで変わる抵抗値の変化を利用して動作する回路を考えます。

 

プルアップの謎 コンデンサを試す では、コンデンサを自動的に抵抗値が増える抵抗としてとらえ、それでLEDの点灯ディレイ(遅れ)という回路を試したので、ここでもCDSの抵抗の変化でLEDが点灯したり消えたりと反応する回路を作るという似た方法です。

CDSを使って、暗くなると自動的にLEDが点灯するという回路を作ってみることにします

 

1.CDS実験回路

 CDS実験回路1

こんな回路にしてみます。

普通のLED回路の抵抗の代わりに、光の量で変化する抵抗=CDS を使います。

 

 

これだと

  • 室内で電気をつけたとき    -   約7.5KΩ
  • 室内で電気をさえぎったとき  -   約120KΩ

となるので、 

 

明るいとき

  • CDS=7.5KΩ の抵抗、  
  • 暗くなると CDS=約120KΩ 

の抵抗をつないだのと同じことになります。


しかし、これでは抵抗値が大きすぎるのと、明るいとき抵抗が小さくLEDが点灯、暗くするとLEDが消灯となり、都合がよくないですね。

 

2.大きく変化する抵抗値を受け流す

抵抗の変化があまりに大きいので、そのまま直列では使えず、
他の方法  分圧を使います。

 CDS実験回路2

 

このように分圧にします。すると光の量の変化が電圧となってAに出てきます。

 

コンデンサを試す の方法と同じような方法です

分圧の式の通り  A点とグランド間の電圧Vは

 

 

  =  
CDS1[Ω]
R1[Ω] + CDS1[Ω] 

  × 電源電圧  

 

  となります。

 

暗くなると点灯する回路作り

電圧Vも 暗くなりCDS1の抵抗値が大きくなると A点の電圧も大きくなるので、 

暗くなると電圧が上昇 → LEDが点灯 と目的通りです。

 

このまま、

 

電源を 3V


抵抗R1を 10kΩ

 

CDS実験回路2

 

にして、A-GNDに高照度LED(実測1.6Vあたりで点灯するLED)をつないでみる

LEDの電圧Vがどうなるか、分圧で計算してみると

 

  • 明るいとき CDS=7.5kΩ
     
    V 

      =  
    7.5k
    7.5k+10k
     
      × 3V  

      = 1.28V 
  • 暗いとき CDS=120kΩ
     
    V 

     =  
     120k 
    120k +10k
     
     × 3V  

    = 2.77V 


  1. 明るいときは電圧が足りずLEDは点灯しません(LEDは実測1.6Vあたりで点灯する)
  2. 暗いときは 電圧が2.77Vになり LED点灯!

 

  • 明るいとき - LEDは 消える
  • 暗いくなると - LEDは微弱に点灯  となります。 

 

暗くなるとLEDが点灯という目的通りなのですが、

しかし、このままでは 上の抵抗を通ってAに行く道スジなので小さな電流しか流れません。


結局 この回路で目的通り動作はしますが、LEDは微弱にしか点灯しません。


それなら、電流を大きくしようと、R1の抵抗値を小さくすると、Aに行く電流も大きくなりますが、光センサCDSの抵抗値とのバランスが崩れ、分圧が全然違う電圧になってしまい、今度はAの電圧が全く崩れてしまいます。

 

つまり この方法では上の抵抗を通ってAに行く道筋なので小さな電流しか流せないのです。

さらに改良


そこで、このまましょうがなく小さな電流で小さく(弱く)LEDを点灯させるのではなく、

その小さな電流でスイッチを入れ、LEDを点灯させる方法を使うことにします。


 トランジスタのスイッチング回路

 

これならば、電流が小さくてもトランジスタをオンにさえ出来る電流があればいいので、LEDを明るくつけることができるハズです。

 

回路を作ってみます。


トランジスタをスイッチに使い、これでLED点灯のスイッチを入れます。

 

つまり、

暗くなると LEDを点灯させるのに必要な電圧  → LEDが点灯

から改良し、

暗くなると トランジスタをオンさせるのに必要な電圧 → LEDが点灯
にします


トランジスタをオンさせるのに必要な電圧はずっと小さくてすみ  約0.65Vです
オフさせるには 0.65V 以下にすればいい。

 

これがその回路です。

 CDSでLED点灯回路

 

トランジスタでスイッチの役割の回路を追加します

 

 

 Vの電圧は、分圧で計算してみると

 

  • 明るいとき CDS=7.5kΩ
     
    V 

    =  
    7.5k
    7.5k+75k
     
     × 3V  

    = 0.27V
  • 暗いとき CDS=120kΩ
     
    V 

    =  
     120k 
    120k +75k
     
     × 3V  

    = 1.84V

 

トランジスタは 0.65V以上でonにできるので トランジスタを on, off できる電圧なのがわかります。

* これだと、CDS と R1 の分圧で作り出した電圧Vはトランジスタをオンする役割だけで、いったんオンになると一番右のラインのLEDのところがつながり電圧Vの大きさには関わりなくLEDが点灯します。 LEDの明るさの調節は抵抗R2でします。

 

これで、こんどは 夜、部屋の電気を消すと LEDがパッチリと暗い部屋で点灯し、なかなかイイもんです!

 

とりあえず センサ光りモノ 電子工作 の完成です


プルアップの謎、コンデンサを試す で出てきた、下の抵抗値が上がっていくと、Aの電圧も上がっていく原理で、コンデンサの代わりにCDSを使っただけです。
コンデンサ=自動的に抵抗が大きくなる抵抗 、 CDS=光加減によって変わる抵抗となり、結局、変化する抵抗がCDSに代わっただけで回路の原理は似たようなものです。
結局はこの回路、振り返ってみれば プルアップの謎 からつながっている流れだというのがわかるでしょう。

 

 

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