コイルを知る

コイルの特長を知ることにします。
コイルなんて知ってどうするのだろう? と思いますが、
意外に暗に陽に電子回路に深くかかわりのあるもので、その特徴を読むだけでも知っておかないと痛い目にあうかもしれません。
だから、最初に取り上げておきます。

コイルの特長

コイルとは線を巻いたものです。
電流を流す導線、配線とは こんな風にまっすぐです。(すこし曲がっていることももちろんあります)

コイル

下のコイルはそれを、鉛筆などにグルグル巻きつけ、鉛筆をぬいて、まっすぐな線の形を変え、バネのような形にしただけのもです。

 

円筒でなく、リング状にしたコイルも多い

coil


そのように形を変えた線に電気を流すだけで、意外な特長がでるのがコイルです

コイルの性質と特徴

1.磁石になる

まず、コイルに電気を流すと磁石になります。

真ん中に鉄棒をいれておくと磁力がより強力になります。
線を巻く、巻き数が多いほど強力になります。

普通の磁石(永久磁石)よりこの電磁石がいい点は、電気を流したときだけ磁石になることです。

ふつうの磁石(永久磁石)は磁石OFF、くっつけたものを放すことをコントロールできないので

 

コイルの電磁石の特長を使ったのが、モーターやリレーです。

 

リレーやモーターはコイルで出来ているということを覚えておきましょう。

 

2.磁界ができてノイズのもとになる

ここでもう1つは、配線がぐるっと回ると1周の巻きでもコイルだということです。

1周グルリの配線でもごく微弱な磁石ということ。。。回路の基板を見ると流れがグルグルと配置されています。こんな小さなことでも微弱なノイズの原因の1つに考えられます。

 

だから、配線、回路、基板というものは多少なりともコイルの特長をもっているということになります。

 

コイルのあまのじゃく性質

コイルにはこの他に、問題となるニクたらしい性質があります。

スイッチをつなげ、電気を流そうとすると、流させまい とし、
スイッチをOFFして、電気を流すのをやめると、余計に流そうとします。 


よく使うリレーやモーターはコイルなので、このあまのじゃく性質をしらないと部品を壊すことがよくあります。

 

モーターはコイルの電磁石の特長をフルに使ったものなので、モーターを回した後、スイッチOFFして止めると、止めた瞬間、仕返しするように、高電圧をつくりだし余計に流そうとドカンと高電圧が出ます。

 

この止めた瞬間のコイルの仕返しの高電圧のせいで、周りの部品がこわれることがよくあります

このため

モーターなどには止めた瞬間の、この高電圧を受け流すのに、フライホイールダイオードと呼ばれる、ダイオードをいれ保護することを覚えておきましょう。
(こういうものは回路の機能に直接かかわるものではなく、保護する目的で入れるので保護回路という部類に入ります)

モーター駆動回路やリレー駆動回路にダイオードが入っているのはこのためです、
ぜひ覚えておきましょう。

 

このコイルのあまのじゃくの性質は逆に使うことも出来ます。

 

コイルのあまのじゃく性質の逆利用

ステップアップコンバーター回路

 

世の中、利点と欠点は常に裏腹です。
欠点でも視点を変えてみると、かならずどこか利点となるものです。

コイルにはニクたらしいあまのじゃく性質がありますが、これを利点にしてしまう回路です。

コイルに電気を流すのをやめると、余計に流そうと高電圧で仕返しするのなら、
電気をコイルに流し、スイッチを止めるたびに高電圧が発生することになります。

 

これで元の電源よりも高電圧を作り出そうという回路。

ステップアップコンバーター回路図
この回路では 電源Vより高い電圧が出力にでます。 つまり電圧を上げる回路です。

 

トランジスタでコイルへの電流をON,OFFさせます。

 

  • スイッチを  ON、スイッチOFF  →  高電圧
  • スイッチをまたON、スイッチOFF  → 高電圧

 

を繰り返します。 ON,OFFするたびに高電圧が発生する。

 

スイッチOFFで一瞬発生する高電圧ですが、チリもつもれば・・とON,OFFを何度も繰り返し、コイルで高電圧を作り出します。OFFにしている谷間を埋めるため、間にコンデンサCをおき、OFFの間はコンデンサから供給になり、ON,OFF飛び飛びの谷間を埋めます。

トランジスタの部分に、ON,OFFをすることが必要になるので、発振回路などを接続して、 自動的にON、OFFをさせる。
すると、電源Vより高い電圧が出力に出るという回路です。

電流を流すのを邪魔されながらコイルに流すので、それを乗り越えいったん流れると 
「 エネルギーを蓄えた 」 とも考えられます。
OFFすると、そのコイルに蓄えたエネルギーを高電圧として放出させる という考えもできます

 

身近では、例えば、1.5Vの乾電池一本で3V、3Vで5Vの機器を動かしたい、
このような場合、昇圧して、1.5Vや3Vから昇圧回路でLEDを光らせるに足る高電圧にすればいいわけです。

また、自動車のエンジンの点火の高電圧発生に、この原理が使われている

 

昇圧回路と降圧回路

このように、

 

  • もとより高い電圧にする回路を 昇圧回路
  • 低い電圧(電圧を下げる)にするのは 降圧回路 と呼ばれる

一般に、直流は昇圧よりも降圧のほうが簡単です。

 

そのほか、昇圧回路には
チャージポンプ とよばれるタイプ などもあります。これは別の方法で電圧をあげる方法です。

 

スポンサーリンク
  • facebook
  • twtter
  • google+
  • hatena