ウソ発見器の制作

トランジスタを使った回路 ウソ発見器の制作

 

電子工作では、 昔から伝わる回路の型ですがトランジスタの増幅を使った面白い回路です。

 

作って楽しめ、トランジスタの動作を知るのにも良い回路、作ってみます。

ウソ発見器

ウソをついたのを回路が見抜き反応するという回路です。電子工作の回路として古くから伝わってます。

 

ウソを見抜く完全な方法はまだないはずですが、これはトランジスタの増幅を使ってウソを見抜く回路の型です。

 

昔、怪しげな機器も通販で見かけました。雑誌によく広告が出ていたのを見かけた記憶があります。
手を置くと、今の集中力の状態をLEDで教えてくれる、最高に高まってる時、、、その時が勉強に最適。。。


手のひらでそんな状態が本当にわかるのか? 疑問を抱きながらもそれでも欲しくなる。睡眠学習という寝ている間に記憶が出来る。。というのもはやったようです。

かつては効果の疑わしい機器は結構あったように思います

 

そんな効果の怪しい機器の仲間に入ると思うのですが、あながちインチキともいえないのがこのトランジスタを使ったウソ発見器です。

 

ウソ発見器の機能 

 

  1. 質問をします。
  2. 答えてもらいます

  3. そして、手でプレートをつかむと ウソなら 計器が振れる、ブザーが鳴る という機能です!

 

 原理は、

 

人間は一般に緊張すると手のひらに汗をかくという特徴があります。(ハラハラ興奮するのを手に汗握るとか表現されるように)

手に汗をかくと抵抗値が下がり(濡れた手だと感電しやすいというように)、より電気を流しやすくなる。その手の抵抗の導通の状態に反応するという原理の回路。

 

これでホントにウソが見抜けるかな? 回路の出来 次第かもしれません(笑)

 

昔からある回路の型でなぜか原理だけはどこからともなく知っていました。電子ブロックにもその回路が取り上げられていて作ることができます。


やっぱり、外界の動作と関わり(特に人)反応するものは作ると楽しめます。

 

ウソ発見器の回路

人に流れる微弱な電流を関知し、それを増幅することで外界への反応する回路。トランジスタの学習と制作にぴったりかもしれません。


トランジスタの増幅なので トランジスタの増幅のナゾ を見ておいてください。

 

ウソ発見器の回路

Lie detector1

(この回路をブレッドボードで作って試してみました)

 

典型的なトランジスタ増幅の形。ベースに電流が流れると 本流にその増幅率倍の増幅電流が流れるというトランジスタの回路そのままです。

 

回路の原理

抵抗を通って ベースにいく配線の間に  A : 右手-左手 が入る
(右手から左手へ体を通り抜けて電気がながれていることになり、、、なんだか怖いですが、この程度の電気はなんともありません  この程度の電気が、どの程度なのか 電流計①ではかれます)

 

人を通り抜け電気が流れればベース電流が流れ、流れた電流が増幅され×100倍~ぐらいになり本流に流れ電流計②でわかります。


流れなければベース電流がないので本流もながれない トランジスタの増幅作用の機能です。

 

手に汗をかいているとベース電流が流れ、増幅電流が電流計でわかる
ただし、Aのところを人がつかむといつでも反応すると機能を発揮しないので、人の体を通り ベースが流れ 電流計②の針が振れるあたりの微妙な抵抗値にする必要があるのを Vr1kΩで調整します。


これで手の汗や湿り具合で電流計②が反応します。

 

実際の実験回路

Lie detector1

 

回路の各部

 

人が触れるプレート

A の人が持つ配線部分ですが、

配線にプレートを付けたような面積の大きいものがいいです。(面積の大きい→抵抗を少なく)
簡易的に ワニ口グリップに10円玉などを加えたのをプレートとして様子みに試してみましょう。


できるだけつかんだ接触面が大きくなるような、大きな金属プレートが反応いいです。

 

抵抗

電流計②下のところの抵抗は20kですが 10k~ ぐらいでもいいと思います。
点線のベースのコンデンサ0.01uFは安定用にいれていますが無くても大丈夫です。

 

電流計

電流計① : 測ってみたい人は B のところで、人体を通り抜けた!電流値が測れます。

これは微弱電流(1mA以下)なので1mA以下が普通に計れるのでデジタルテスターでないと無理でしょう。この電流計①はベース電流確認用なので無くてもいい。

 

digital-tester

 

電流計② : これは流れた反応を見る計器です。ベースが流れるとこの計器が反応します。これもデジタルテスターでないと難しい。


これが増幅された電流です。

 

でもトランジスタで増幅されたとはいえ微少電流なのでuA(マイクロアンペア:1mA以下)の計れる電流計でないと針がふれません。

 

デジタルテスターなら、たいがいはuAでも計れるので数値が動き反応するのがわかります。でもこれはアナログテスターで針が振れる反応でないと面白くないので方法を改良して考えたいです。

 

analog-tester


(テスターはこんな風に実験で電流計にして使っていると2台ぐらいほしくなり、その上、電圧もとなると3台欲しくなるときがあります)

 

調整や回路の動作

なかなか思うように動作しないことはよくあります。

 

(おそらく、アナログ針式、1目盛り1mAの電流計を使うなら、この回路では針を少しでも振れさせるのは抵抗値をかなり小さくし調整する必要があると思います。いろいろ試してみるのも面白いでしょう)

 

 原理に立ち返る

 ベース電流が流れる × トランジスタ増幅倍 = 増幅電流 となるのがトランジスタの基本なので、

 

Lie detector1

 

人の体を通り ベースが流れ 電流計②の針が振れるあたりの微妙な抵抗値にする必要があるのを Vr1kΩで調整します。

 

電源電圧をあげても大丈夫です。5Vや6Vではそのまま触っても・・・・? 感電するか体験してみてください。

 

部品で調節してみる

C のコレクタ抵抗を変えてみる 20kで これ以上は必要ないと思います。
半分にしたりそのまた半分にしたり。

 

(コレクタ抵抗は 電流を最大限流したいなら、この回路の場合はベース電流が微弱なのでコレクタ抵抗ナシにしても大丈夫でしょう。


ベース電流と増幅率から概算してみましょう。ただ普段からそんなことをしていると、トランジスタに過電流がながれトランジスタ壊れやすいです)

 

抵抗を半分にして 流れる電流もそのまま半分にとはいかなかったりします。
その理由とかもトランジスタの原理などから考えて、オームの法則がそのまま通用しないのも実験してみるとトランジスタが少し実感できるかもしれません。


どのぐらい電流計は反応するのか、どこまでふやせるのか ?


まずは ベース電流が 非常に微少だと 増幅以上は C には流れないので、ベース電流を調べる。

 

人体通り抜け=抵抗と考え そのベース抵抗で増幅倍がコレクタに流れるので ベース電流 コレクタ電流の関係などを考えてみると、抵抗をあれこれ調整してもだいたいこの辺までかなというのも見えてきます。

 

通常はベース抵抗を入れる部分に人体があるので
人体=抵抗 と考えるなら 人体の抵抗をテスターで測ってみる

 

電流計に増幅電流数mA流すこともがんばれば可能です。全部抵抗とっぱらい、人体ベース抵抗だけにして増幅)など

 

 実際に遊んでみる

 

こういうタイプの回路 みんなでやると楽しいもので、電子ブロックでは、小学生の中で試すとき

 

質問で

 あなたはクラスに好きな女の子がいますね

 

と質問して、ウソ発見器を握ってもらい盛り上がったというような部分がありました。

 

こういうのは たのしくなりそうな質問の方が重要になりますね。


 

 

更に改良 ブザーを鳴らす

いつものように だいたいうまくいったら 改良してみます。

 

ウソ発見器 といったらやっぱり 鳴りモノでしょう

 

光りモノにする というLED使う方法もありますが、ウソつくとブザーが ”ブー”となって反応するのはウソ発見器らしい。

 

ブザーを鳴らす

ブザーですが、
ブザーならすのはふつう発振が必要ですこし面倒です。

 

キットのブザーを使った

先の工作例の エレ工房さくらい のブザーキットをそのまま使い、つなげました。

 

buzzer-kit
これも入出力でみると電圧入れるだけで鳴るブザーですが、
入力の端子がHigh(5V)になるとブザーがなります。

 

この回路、デジタル回路の入力なのでアナログのように境目のない電圧でなく、H,Lの信号です。


5V=H と 0V=L 多少ずれてもいいのは デジタルICを使ってみる の項目参照
このキットのデジタルICは3V電源で動くデジタルICなので H=3Vで可(そのままウソ発見器回路に接続可能)

 

ブザーが鳴る仕組み

ウソ発見器の回路 コレクタから取りすのは、ウソつくと 下の回路図 ’測定点’では電圧が下がる回路です。

 

この接続だとポイントの電圧は  

  • ウソ検知=0V程度
  • ウソでない(反応しない)=電源電圧

 

ウソをついていないときにブザーが鳴り続け、ウソ検知でブザーが止まることになります。

この回路を反対の ウソ→H にするのはウソ発見器の回路を変更する必要があるので、もう一段外に回路をつくります。

 

トランジスタNOT

トランジスタで デジタルゲートのNOTを作る回路の型です。


これを間にいれ、逆さま(否定=Not)にして、ブザーキットに入れます。

このキットや電圧入れるだけで鳴るブザーがある人は試してみましょう。


ウソ発見器の調節で電源電圧を上げたりしていると、範囲外になっているかもしれないので不用意にキットや機器をつなぐ前によく確認しましょう。

 

Lie detector2

 

これでウソ探知すると ブザーがなります。調整は同様にVR1kΩで。

 

この、ブザーにHが伝わる動作ですが まずは 先の回路の動作の電圧を調べましょう。

この回路は トランジスタの項目で以前出てきたようにトランジスタをスイッチと考える

 

すると、
この回路プルアップのナゾの回路と同様に考えられます。

トランジスタNOT1

 

トランジスタにベースが流れるとONになる ベースがないとOFF

  • トランジスタ-OFF → 測定点電圧 3V程度(電源電圧)
  • トランジスタ-ON  → 測定点電圧 0V程度

ややこしいので 測定点を引き出したところで考えると

 

このようになり プルアップのナゾ同様になります。

 全部でみると こんな動作に。


トランジスタNOT2

 

ブザーを直接 J につないだ場合
通常ブザーが鳴っていて、ウソ探知トランジスタ-ONで ブザーが止まる という動作になります。

間に入れたトランジスタがNOTで 逆転させているのがわかります。

 

これで調整すると気持ちよくブザーがなります。
(ブザーキットはH,Lデジタル信号で鳴るので 音色が変化することは期待できないですが、電源電圧では変化します)

 

ウソ発見器ブザー完成 !

 

増幅回路のなので原理からいろいろ抵抗など調節して試すと面白いです。

 

でもやっぱり ウソつくと計器の針が振れて反応する 伝統的ウソ発見器 にしたいです。
次にまた改良を考えてみることにします。

 

 

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