LED懐中電灯の制作

市販の懐中電灯を改造して、昇圧回路で白色LEDが点灯するLED懐中電灯を作りました。 回路はキットを使用、ここは製作が中心です。
実用機器は回路だけでなく製作がとても重要です。製作に手を抜いて作ると、耐久性がなくなる、見かけも悪くなり自分でもあまり使わない実用品になる。反対に、うまく機能的に考えてきれいに製作すると気に入って長く使えるので、回路より製作例として。

キットと市販品を使って

この2つを組み合わせて白色LED4本を使ったライトを作りました。

 

100円ショップの懐中電灯

LEDflushlight

 エレ工房さくらいの昇圧回路

 powerkit

 

白色LEDは3.6V程度の電圧がないと点灯しません。

 

内容

乾電池2本で点灯させるので、昇圧回路で電池2本=2.4Vの電圧を昇圧回路のキットを使い5Vにします。


電圧を下げるのを降圧、上げるのは昇圧回路と呼ばれます。

この昇圧回路のキットを使い3.6V程度の電圧がないと点灯しない白色LEDを


電池2本(2.4V程度) → 昇圧回路 → 5V

その5Vで白色LEDを点灯させる、電池2本+昇圧回路 のLEDライトです

 

LEDは消費電力も小さいし、1つあると何かと役立つでしょう。

市販品の少しの改造とキットを組み合わせるだけなので単純な工作に見えますが、出来るとなかなか役立つ、難しくもないですが作り上げたという感じがあります。

 

配線や、既製品の改造の穴開けなどが製作の中心ですが、きれいに作るには、既製品をうまく使うことや、製作をうまくやることがミソになります。使える電子機器は回路だけでなく製作が重要です。


電子工作は回路を考えて1から作るだけでなく、キットや市販品を改造したり継ぎ足したり、一部に使ったりする、こんなのも電子工作の1つです。

 

ここを見るだけだと、’なんだ簡単なもの’ と思えますが、作ってみると製作は案外大変で、出来上がった達成感もあると思います。(それ以上に下地に使うキットや機器選びに手間取るんですが)

 

100円ショップの懐中電灯を使って

LEDflushlight-分解

 

単三電池4本の豆電球ライトですが、持つことも立てて角度に固定することもでき、なかなか有用です。


単三電池4本使用なので内部が広く改造に余裕があるので、この内部を改造し、昇圧キットを入れて、3.6V必要な白色LEDを乾電池2本で点灯させるライトを作る

 

実用製作モノが初めての挑戦という人は、まず試しにこの懐中電灯を買ってきてバラしてみてON、OFFの仕組みをしらべてみましょう。(作れる自信がなければ元通り組み立てると、普通の懐中電灯^^)電池4本入れると重いけど。

 

使用する昇圧回路 エレ工房さくらいの昇圧キット

すこし前まで、コイルを使ったステップアップコンバータをブロッキング発振で昇圧させる回路がありました。

 

スイッチング式昇圧コンバータキット

 

スイッチングコンバーターkit

 

写真では大きく見えますが、非常に小さい。


親指に載りそうな小さな基板に、部品4点ほどハンダ付けするだけなのでアッという間にできて、キットとしては作りごたえないです

 

 

入力1~3V で 出力5Vがでる昇圧キットです。 (最大出力電流は200mA)


その入出力だけを使うので回路は使い方だけでいいんですが、回路の出力最大電力を超えないようLEDの回路を作る必要があります。

 

前のはコイルを自分で巻いて作るし部品も少し多くて コイルを知る にあるステップアップコンバータの原理なのでなかなかおもしろかったのですが・・・・

 

このキットも出力に保護回路ないようなので、出力をショートさせると過電流で壊れるおそれあり。

 

 

 

LED

 

 

LEDはφ5mmの超高照度のVf3.6

定格電流25mAのLED使用しました。

whiteLED

 

LEDは一般にはよく直径(φ)3mm,5mmが使われます。同じ大きさでも照度に違いがあります。
高照度、超高照度などの等級に各社で分けられているみたいです。
照明などに使うのは超高照度が適しています。


白色LEDはまだ他の色より値段が高いですが、ここは懐中電灯なので値段は高くても超高照度にします。

 

LEDでは当たり前ですが、足の長い方に+をつなぎます。抵抗などはどっちに+をつないでも同じですが、LED(発光ダイオード)はダイオードの特性も持つので反対につなぐと点灯しません。

こういう、どちらかの足を+につなぐと決まっている電子部品は ”極性がある” といわれます。

 

キットなどにも製作説明では 「極性があるので足の長い方を下側につなぐ」 というように注意があったりします。
極性がある 電子部品は足のつなぎ方に注意しましょう。
(抵抗などは極性がない、コンデンサなどは種類により極性があるものと無いものがあります)


4本使いましたが、もう少し増やして、明るさがあっても良さそうでした。

LEDsONboard
キットの出力容量ではまだ本数を増やす余裕があります。

 

LED回路

 

この製作で回路を考えるところは、単に配線のつなぎ方 と LED回路だけになります。

 

LEDの電圧と電流

LEDに流れる電流をだいたい計算するのには原則では使用するLEDの個別のデータ、Vfと最大定格電流は必要です。

 

Vf値

色によってだいたい似ているので、以下のようにだいたい計算できます。

LEDのVf値とは:最低これぐらいの電圧をかけないと普通に点灯しないという一般的な電圧

 

  • 赤色 1.8V
  • 青色、白色 3.6V


このVf値と流せる最大電流(最大定格値)がLED回路を考えるのには必要です。

Vf値は一般に上記の数字ですが、この最大電流はそのLEDごとに個別のデータがあります。

 

最大電流

最大電流は そのLEDに流してもいい最大の電流。

 

電流を多く流せばより明るくはなりますが、体感できる明るさでは、明るいLEDをさらに数㎜A程度上げてももっと明るくなったとも感じないし、ほどほどのあたりにしましょう。

 

(最大電流はホントは少しでも超えてはいけない絶対定格値です、でも、少しでも、また一瞬でも超えると壊れて点灯しなくなる というようなものではないです。超えると寿命がより短くなる、発熱がより大きくなるぐらいに考えておきましょう。

これを少しぐらい超えて電流を流しても増やした電流に比例して明るく感じるというわけでもないです)

 

LEDに抵抗は必要か?

必要です。

 

Vf値より下のあたりの電圧をかけるとLEDに電流が流れ始め点灯します。

徐々に電圧を上げると増えていき、突然増えるような流れ方です。抵抗がないと過剰電流が流れLEDが壊れるので必ず付ける。



●抵抗値、電流の計算

whiteLED

 

LEDの電圧 - Vf値 
抵抗値 

 = 

 LEDに流れる電流 
 

 

これがLEDに流れる電流の計算式です。この式から 変形して必要な抵抗値などを求めましょう。


また、この式で電流が最大値を超えないように抵抗値などを決めましょう。
そして、計算した抵抗値でLEDをつなぎ実測してみましょう。

 

LEDに加える電源5Vで 上記 白色LED φ5mmの超高照度
(Vf3.6 定格電流25mA)
56Ω抵抗をつなぐと、そのLEDに流れるだいたいの電流値を計算

 

 5V(LEDの電圧)-3.6V(Vf値)
抵抗値

 = 
 1.4V 
 56Ω

 

 = 0.025 (25mA)


ちょうど最大定格電流 いっぱいの25mAになりました・・ 


だいたい計算からこのあたりの電流が流れる予定ですが、計算値(理論値)なのでバラツキがあり正確ではないので、抵抗をつないで回路をつくりテスターで測って実験し、実測しましょう。

 

実測すると 22~24mA ほどになりました。最大電流を超えることもあるかもしれませんが、あんまり気にしません


製作ではこの抵抗値を使用しました。

 

製作

懐中電灯改造

LEDflushlight-分解

 

透明のカバー部を取るのはネジになっているのですぐ取れる。

透明のカバーから銀色の反射板を抜き取るのが硬くて大変ですが、反射板は壊れてもいいので抜く。

reflecter
この代わりに円形に切ったユニバーサル基板を入れます。

 

電池ボックスを改造   
battryBox-分解

 battryBox-分解2


表裏で4本の単三電池のBOXです。


表側に(どっちが表かよくわかりませんが)2本の電池をいれる、裏側の2本の電池部が開くのでここにキットの回路を入れます。すごく小さいのでスペースが余ります。

 

写真のように裏側の電池の接触部(バネのプレート)を抜きます。直列つなぎなので表裏の電池が4本直列につながるようになっている。
それを抜いて、表だけの2本の直列つなぎになるよう、表側の電池側には抜いた接触部を横にして入れます。


これで表側が電池部になり、裏側が単なるスペースに。ここに基板を入れます。

 

回路図にするとこんな感じになります。(スイッチは昇圧キットと電池のつながりをON、OFF)

 

LEDflushlight回路図

 

このライトはスイッチをオンすると、電池との接続がつながるようになっているので
ちょうど電球が入る円筒部のヘソに裏からつながるようにドリルで穴を開けて配線を通し、接触金属タブにキットの入力端子をハンダ付けしました。

 

LEDflushlight3

 

キットの基板はこんなに小さい

 

入力ラインを電球が入るヘソに穴を開け通して接続してある

 

外側に出ているのが出力ラインでLED基板へつなげる

 

これでスイッチオンするとキットの回路の電源が通電され、入力電圧が来ます。そしてキットで昇圧された電圧が出てくる出力の端子をLEDにつなぐ。

 

LEDflushlight4

 

電池交換に電池Boxを取り出すことが必要なので、LED基板との接続線は長めにします。

 

LEDの取り付け基板

ユニバーサル基板をライトに入るように円形に切断します。

 

LEDsONboard

 

裏側に抵抗を配置しています。

 

LEDはちょっと浮かせて取り付けると
少し角度が変えられていいです。

 


上から透明のカバーをネジ式にねじこむので、はさみ込まれてるので多少スポスポでも固定されます。


これを電池Boxのキット回路の出力から出た配線とつなぎハンダ付けします。
LED基板と電池BOXをハンダ付けしてからケースには入らないので、電池BOXをケースに入れてからハンダ付けします。

 

レンズカバー

 

LED基板をカパッと入れて上から透明なレンズカバーを入れます

接触する場合はヘソの金属電極を下げて沈める工夫などが必要。

 

ここは、すぐ配線ハンダ付けせず、配線をハンダ付けする前に組み付けて確認しましょう。

 

出来上がり

完成です。

 

 

 

出来上がると、外観には何の変化もない。スイッチオンして点灯させると 白色のLEDに照らされて。。。
出来上がると当たり前に使えますが、ココまで作るのは工夫が必要で作ってみるとなかなか大変でした。
だから、単なる懐中電灯を超えて自分で作ったLED懐中電灯!

市販品をつなげて作っただけでも、やっと出来上ったのでうれしくて夜間の散歩に出来たくなる 青色だと、もっとハイテク風かも 

 

一度作ると要領がわかったので、今度は青色LEDをいっぱい付けた青色LEDライトを作ってみたいですね。

 

 

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