始める機械加工 NCフライスへの道

NCフライスへの道


NCフライスを自作しました。ほとんど便利な市販部品を使わず自作になりました。
ここはあんまり機械加工にかかわってない人は意味がわからないところも多いかと思いますが基礎的な解説はなしにしています。

        

自作NCフライス


タイトルが NCフライスへの道で、こういう題名だと製作過程を順に続けていくのが常なんですが

すでに出来上がってます^^;
・下に動画を加えました、小さい動画が大きく表示なので、粗めです。
主軸をACモータに変更しています、下写真とは違い頭デッカチ
ネットではCNCフライスと呼ばれることが多いです。(一般に現場ではNCフライスと呼ばれるのでここではNCフライスとします)
最近、自作の卓上NCフライスは、ネットで自作が広がっています。(といっても、こんな特殊なもん作るのは全体からでは極一部の人ですが)確か先駆けはJinSATOさんがプリンタのジャンク部品などから、制御ソフトまで自作したのがネット界ではじめでなかったかと。加工品をみて自作でボールネジも使わずここまでの精度の加工ができるのか!と驚きました。
初めて見る人は同様に、自作機械で単なるMネジが送りでここまで細かい加工が出来るのを見ると最初は驚くのではないかと思います。

●試し切り

まずはマル
NCフライスは円が描ければまずは成功といえるので、ボールペンを持たせて円を描いたときのもの

機械が完成し、Gコードで加工プログラムを作って、初めて円を描いたときの喜びはわすれられません。

テーブルが斜めに送られていき次第に円が出来上がり元の始点にもどってやった!という感じでした。

上の自作機で試し加工(小さな文字)したもの
左の刃でいらないCD盤に ”師匠” 文字を彫ってみたもの。最初の加工は高さ(切削深さ)の調節などで試行錯誤し、どこまで小さく文字が彫れるか試しました。切削深さの関係でぶぶれていますが最近は文字切削も限界がわかりだいぶうまくなりました。小さな文字にするほどZ軸の精度の切り込み深さ調節が効いてきます。すごく微妙。


 これは表面に、ミゾ彫り先細刃で切削

文字もおっきいと切削もきれいに。。フォントの味も出せます
これはドリル刃でさらって切削加工したフォント文字



設計の段でずいぶんいろいろ考えたんですが結局、イバラの道 全部自作を選んでしまいました。
特にスライド部に一体化したものを使わず、作って精度それなりに出そうとすると労力が膨大になります。
出来上がった後に制作物について書くと、いつもどこから書いていいのかわからない。やっぱり作りながら記事にすべきですが(制作過程をぼちぼち書くのは苦手なので)

この機械の設計と方針
最初に機械使用部品の仕様ですが、部品代がかからない分、加工が数段大変でした。
スピンドルモータ マブチ540
スライド部 シャフト&スライドドライベアリング
スピンドル軸 
チャック
スピンドルは製作
プロクソン市販部品
モータ ステッピングモーター(12V駆動)
送りネジ 8mm寸切りMネジ
本体 アルミ板と アルミ角パイプ
この仕様を見て、わかる人なら 安っぽいと思うでしょうね^^;
最初はこんなところから初めて、そこそこ動けばと思って始めましたが。。。

それでもっと精度を出そうとがんばってみたい気がして、、、わかってはいたけど、費用もかかり、加工がスッゴい大変でした。特にスライド部の設計と加工精度でほとんど位置決め精度がきまるのでスライドドライベアリングは大変です。スライド部で幾度も図面を書き直したり。。
<方針>
小物や薄板切削用(特に基板切削)、アルミも切れる が目標
型はゲート型(門型)
目標位置決め精度  0.1~0.3mm以内ぐらい(プロクソンの小型フライスぐらいに切削できたら)
持ち運びできる、場所をあんまりとらない、小さめ、軽めに。
仕上がるとNCフライスの機能と加工が楽しめるだけの精度とデキに。
というのを目標にしました。


図面(組図)


図面です。図面規則通りではないですがほぼ外形がわかると思います。(これは全体図で、その後いろいろ細部は変更しています)
花子で作図してます。(花子はなかなかのCAD機能がありました)一太郎のオマケソフトの印象ですが、慣れると広くドロー全般になかなかの機能があります。

組図を書き上げ、各部を部品図にしてそれを見ながら加工していくわけですが作ってる途中にドンドン変更がでてきて、全体も変わってくることになります。(無くてもよさそうな部品を省略し、サイズつめることが多いんですが)
 方眼紙やドラフタで(あと電動消しゴムとか^^)手書きでもいいんですが、CADだと可動物をまとめて動かすことが出来て干渉チェックや移動量を確認できる、つまり画面で動かせるところは格段に便利です。
(部品点数が多いと部品図が増えて、しまいに機械の横で方眼紙に手書きということになりました。手書きも早くていいとこあります)

こういう組図では、なんだかよくわからない人がほとんどでしょう。(まだ、上に写真があるのでまだイメージできると思います)
図面描いた人は頭に立体イメージがあるし、現物を既に見てると立体がイメージできるのですが、もしこんな図面だけ見て立体が頭に浮かぶ人はよほど毎日図面みて、頭の中が平面になってる人でしょう。
人の頭は平面から立体をイメージしにくいもの。立体→平面イメージはわかりやすいらしい。でも反対は困難、しかし、毎日見てる人はこんな図面みただけでで立体図が頭に浮かぶらしい。だから図面がイメージしにくい人いうのが普通、慣れると自然とわかるようになる

サイズは小さくしても、移動範囲をできるだけとる。。という考えなんですが、図面を見ても門構造のZ軸の剛性が弱そうです。(本来、もう少し補強が付くはずなんですがこれで軽切削ならできるので止まってます)
もう少しZ軸も剛性のある作りの予定だったんですが加工が大変で先に進まないので不足なら後で変更しようと省略して進みました。実際、平面切削が中心なのでZ軸の垂直度はあまり気になりません。


加工の要点

キモはスピンドル部とスライド部になりました。テーブルの平行、水平度と、安定して回るスピンドル部。垂直度の精度は通常、平面加工が多いのでそれほど気にならないはずです。

こういう機械はある程度の調整幅を持たす方がいいので押して固定する調整ネジを考えていましたが、加工負荷が割と小さいことから、取り付けネジ穴のガタ分を調整幅にして固定とする方法に。。これ安易だけどスゴイ便利、で設計が楽^^ チト強度に不安はあるが

土台のテーブルの水平度はシャフトの固定部品の精度できまるので調整はできませんが力がかかるところなので調整出来ない方がよさそう。固定の凸部品は、底をさらって研磨して調節すれば高さの修正はできますが、実際必要なかったです。

フレーム

フレームはアルミの角パイプと板
変更前のサイズが小さいものですが、こんな土台とテーブルです

強度はこれでまあまああります。
立てて人が座ってももちろん大丈夫な程度。
もちろん鋳物や鉄のドンとしたフレームでないので剛性はそれなり
軽負荷の加工なのでこれでも大丈夫
10mmシャフト(スライド用で表面焼入れのもの)
シャフトは太いほどイイですが、バランスでこの辺に。
スライド部に滑りドライベアリングをいれています。
テーブルは写真は試しに5mm厚ですが、強度が全く足りないので8mm厚に変更しています。テーブルはアルミだと最低8mmは必要でしょう。平行にスムーズにテーブルが移動するような加工に。

一部青色なのは、アクセントに色づけです。
ウソです
知らない人は 綺麗だね といってだまされるのが楽しい(青ニスというケガキです)
値段は高く受け加重は小さくなりますが、リニアガイドを使うと加工と設計がかなり楽になり、精度もあります。
    
    THK LMガイド(動きがみれます)

よほどこれにしようと設計のとき思ったのですが。。(これから作ってみたい人には、自家製作スライドはマネしない方が賢明です、精度を求めると加工工具をそろえたりで費用も余計かかるでしょう。リニアガイドを使った方が設計、加工共に断然、楽です。それより市販ミニフライス使う方が圧倒的に楽で費用も安い)しかし作る面白味は半減。

スライド部(旧
最初は、試しにこんなふうに締め付けネジで押し付けてガタや滑り具合の調節にと、試作してみましたが・・・

でもテーブルはスライダがシャフト1本に2コになるので組み付け調整具合でガタもなくスムーズにスライドするので締め付けネジ必要なかったです。(今思うと、手軽な部品にこんなめんどくさいこと、ですね)

でも、自家加工のスライド機構を精度を持たせてスムーズに滑らせるのは図面を描いて金属加工の試しどころなのでやってみると熱が入る^^

この機械の加工で機械の加工精度を決める中心は、写真のようにシャフトとスライダの固定部品の穴位置です。テーブルの水平度を決めることになる部品の穴位置、滑り具合を決める2本シャフトの平行度の精度がこの機械の加工の要点でした。ドリルで穴加工しています。穴開けでドリルの太さを3段階に順に大きくして加工。シャフト固定の凸部品はしまりバメ程度の穴にして打ち込んでいます。スライダ凸部品も同様にスライドドライベアリングを打ち込んでいます。テーブルが3つもあるので、テーブル1つに8コの凸部品が必要になるので。。。
でも集中して作ると案外いけるもんでした。組み上げるとガタもなく、なじむとスムーズにスライドします。

その他 THK製品など
こんなのを各部全部にふんだんに全部使えたらどんなに幸せか。。。
(ボールネジ30cmぐらいのもので1本3万ぐらいします。3軸使うと。。。送りネジだけでプロクソンフライスを遙かに超える・・・)


CNCはZ軸にモーターを積み上げると高さがだいぶ上がるのでテーブル高さを低くと、せっせと部品の図面変更を繰り返ししました。

ドライベアリングとか横文字にするとすっごく良さそうですが・・・
実際見ると

左写真)こういうモノです、左側 (右がボールベアリング)
 単に平板を丸めたようなもので、中には何にもはいってません。
 円筒型のボールスライドベアリングもありますが、径が大きくなり加工工具がないので不採用。
 同じ10ミリシャフト用なんですが、外形にこれぐらいの違いが。

右写真)シャフトに入れたところ

スピンドル部


スピンドルは製作しました。といっても旋盤を持ってないので知り合いの加工屋さんにしてもらいました。

CNC製作は諸先輩が多数います。みなさんにいろいろ教えていただきました。

そこでアンギュラ軸受けが便利と教えてもらいました。
与圧で軸受け加重が変えられ発熱を押さえる意味からも有用なようです
実際このCNCには大げさですが流用にも使えそう。

刃の取り付けには
プロクソンの市販のコレット&チャックを使用
その部品を渡して現物合わせでネジ部を作ってもらいました。

(この図も花子でドロー)
出来上がってきた加工品、組み立てたものです。
多分、このフライスで一番まともな部品でしょう。スピンドルはステンレス^^ 鈍く光るのがスキ
軸の切り込みはスパナがけのくぼみです。

ベアリング打ち込んで組み上げたら、しばらく一人で眺めては、クリクリ回して喜んでました^^
締め付け与圧でヌゥーと回る感触がすごく心地いいです。

ホルダは鉄ですが加工ではアルミばかり使っていたので、肉厚を取ると鉄はやっぱり重くなりますね。もともとはアルミ材使用のはずものだったので。これも一緒に作ってくれました、穴は圧入程度ですが仕上がり品を見て、鉄鋼加工のこの精度でボーリング加工はX2クラスのフライスでは剛性から無理そうだなと感じました。
実はスピンドル、この旋盤加工をしたのはなんと女の子なんですヨ。
ミクロンオーダーもサラリと加工する旋盤少女。それが美人旋盤師匠なんです^^ こんな子が今は旋盤を操るなんて。。。。その美人師匠がステンレス加工が得意なので軸が自動的にステンレスになりました。
プロクソンのチャックを渡すと、スピンドルホルダと一緒に全部合うように現物あわせで加工してくれ、すぐに出来上がって来ました。(スゴ!)  手に取ったとき、出来上がりの美しさに驚きました。

コレットチャックのネジ部にむしれもない、各部の綺麗な面取り、はめあいの感じ。。
自分でこんな中繰り加工までするといろいろと切り込みを迷いながら出来上がっても何度も失敗の連続の末にになるんだろうけど、”できましたよ” と普通に渡され、こういうのをサラリと加工するのがプロなんでしょうね。

自分で加工したものは面取りさえしないので、角にぶつけて身がグキッて何度けがしたか、そのたびヤスリで角取りしてました。加工ではすごく切り傷つくりました。

スピンドルモータ

スピンドルモータにマブチ540使用しています。入手しやすく軽くて安価。
スピンドル軸とはカップリングで直結しています。プーリーとベルトで増速予定でしたがそのまま回しています。
(作りながら図面を変更し、とりあえずは、まずは動かせる方向にどんどん変更になりました^^;)
しかしこのモータはくせもの。コイル巻き数が少なく軽いのは、代わりに低電圧、大電流で力を出し回すモータともいえそうです。突入、遮断電流がすごくて、回路用の並の安定化電源では保護回路が働くこともあって遮断されます。かなりの電流が必要。負荷条件によっては30Aを超える電流になることもあるみたいです。電池電源で回すことを想定した趣味利用モータの様子。
 またスピンドルのような長時間利用となるのには寿命も短いでしょう
手軽なのでこれにしてみましたが、送りモータと電源を分けています。パソコン用の380W電源、5Vで駆動しています。定格12Vですがそんな電圧で回すとうなりを上げるので寿命がすぐ尽きてしまいそう。
このモータはホビーラジコン用などが主でスピンドルのようなものには向きそうもない曲者モータ。


製 作

製作にあたり、加工のためにフライス盤が必要になります。それなりの精度に仕上げるには必要でしょう。
フライス盤をつくるのにフライス盤が必要??
ということになるのですが、最初はよほど市販のプロクソンの卓上フライス盤を使い、これをNC制御にするだけにしようと思っていたのです。
でもX2というフライス盤があるので、それではあまりに簡単な気がして。。フライス盤をフルにつかった加工をしようと始めました。。。余計費用がかかるのもわかってはいたのですが、おかげでフライス盤の加工用の工具もアクセサリーもいっぱい買うことになり。。
しかし、完成してみると機械加工の腕も格段にあがったような気もします^^

本体はネジで組み合わせている構造なので、思い出すと加工はほとんど穴開けとタップ立てだったりします。すごい数のネジをつかいました。せめてタップ立てが自動で出来たらと。。。それに自動工具交換(ATC)あったらどんなに作業が楽か・・・それから。。。
もし大型機械を一度でも使ったり、間近に見たことがあれば、卓上機械加工をすると誰しも一度は思う、
今どきの工場にあるNC機は、ATC、タップサイクルなんて当たり前。鉄を数ミリ切り込んでもビクともしない剛性。。町工場の前を通るたびに、中をのぞき込んでは、手フライス盤でも ”あんな機械がつかえたらなあ” なんて思う病にうなされれます^^;


 でもx2でも50~60Kg近くあり、運んで設置するのはとても大変でした。このNCフライス作るのに、使うとコレでもテーブルサイズが小さく段取りにいろんな工夫が必要です。

加工や途中の様子の写真は作るのに夢中であんまり残してなかったです。やはり製作様子から記事にしてないとこういうのはいつも残らず、記事も内容がすごく薄くなります。

フライス盤X2で加工
デジタルスケールを取り付けて、移動量が表示になっています。(これないとハンドルの回転数を数えることになるので、数多い加工をする場、実際はなくてはならないもの)

せっせと部品を削り、必要な部品をやっと加工し終わり、その部分を組み立てる・・このときが本当に楽しい時間です。

加工の労力が報われるかどうかは、図面と加工精度によってこのときしっかり現れます。

どっかで部品の穴を表裏に間違って開けた・・・その部品すべてがひとつの穴でボツ(涙)
ちゃんと仕上がっても、組み付けて動かすと ゴツン 干渉がでた!・・・(意気消沈)

なんてことは必ずあるのでくじけずにやる。。。
特にコンパクトにしようと図面を描くと問題が多いです。(小さくしても機能を持たせて、狭いところに詰め込むセセこましい設計させると日本人が世界1だそうです、デジカメとか知らぬ間に日本メーカーの独壇場に。分解するとこんな構造日本人以外作りそうにないだろうなぁとしみじみ)

テーブル部から作り、そこから次の図面を修正しながら上に積み上げて作っていくような感じでした。
Y軸まで組み立てたところ。
ちょうど門のくぐり高がホルダの四角と合ったので下に置いてXスライドの精度を見てみたり。。
極わずかの紙が入る程度の隙間をスーと垂直テーブルが上を素通りするのは心地よかったです。まともな精度で一安心

金属加工はいいんですが、憎いのは切り粉(切削クズ)、金属加工する人にはおなじみだけど
このNCフライス製作で出た小さめダンボールで1杯めのアルミ切り子
合計で約3杯の切り粉が出た^^;
これ見てもなかなかの作業量だったのがわかります。

これが、体のどっかにくっついて家中を移動し拡散したりするんですよね。
(これが家中で騒動を引き起こすので、杉花粉のようなものかも)
しかたないんですが、この切り子が金属加工ではほんとにいやになります。


ドライブ回路

モーター制御回路ぐらいは市販製品があるので買おうとおもったのですが、回路のHPやってるので作らないといけないような気がして回路も自作するハメになりました。

ドライブ回路はいろいろ考えましたが、パルスをもらって駆動するだけの機能にしました。加工ソフトのMachがステッピングモータ用のパルスを出力します。それを受けてモータを回す、各部の信号を機械から受け取る程度の機能。ドライブICにマイクロステップ機能があるでSLA7078を使用。
マイコンなど入れていろんな設定値を保存したり機能をつけてもいいですが、高機能のPCで制御するのにその先の制御ボードにマイコンで機能を持たすのもヘンなのでシンプルなものに。

最初はH8のホームページをやっているので3664Fを使い、Machからパルスをもらって駆動する回路を3664Fで実験してみましたが、振動が多くでて、やはりマイクロステップを使うべきと思いドライブICを使いました。
以前のノイズが気になった、確か62だったか、と比べSLA7078は良くなってる感があります。
これだと、ICに必要な機能が全部あるのでドライブ回路が作りやすいです。

機能はシンプルなもの
ドライブ回路
入出力インターフェースとステッピングモータドライブ回路を分けています。
加工ソフト側のMachの機能にたよる
ic サンケンのsla7078使用でパルスをもらって駆動するだけ
機械からのスイッチ情報入力受け取り
入出力フォトアイソレート
スピンドルモータ制御機能はなし(必要なら別基板で)


フォトカプラでアイソレートしてあるぐらいで、ほとんどサンケンのsla7078のデータシートのサンプル回路を並べただけです。マイコンなどに設定値は持たせず素朴にディップスイッチでサンケンIcの設定をします。なんにも特別なところがない回路


加工物をNCフライスで作るまでの作業は

 CADで加工したい図面描く
   → CAMで加工用Gコードにする
      → MachでそのGコード読み込み 加工スタート

という手順。

加工をNCフライスに自動でさせるのは
Gコードで書かれた加工プログラムを実行することで加工します。それはMachを使っています。

Gコードは一般的に使われる加工プログラムです。で手書きでも加工を作れますが。
Machでは機械に合わせてモータの最大り速度、バックラッシュ調整などを決めておいたりと加工状態を調整するのでMachの加工ソフトがNCフライス加工で使用の中心になります。


加工ソフトMach

知ってる人にはもうおなじみ
Mach3 を使っています。Mach2使用だったんですがいまは3にしました。

カナダのソフト会社が Mach というソフトを提供しています。500行までならフリーで使える。このソフト手軽に利用できるのでアマチュアにもNCフライス自作が盛んになったといえるでしょう。ライセンス購入しても高くないです。



Gコードの加工プログラムを読み込んでステッピングモータ用のパルス信号をパラレルポートから出力します。その他、信号入力機能なども持ちリミットスイッチや原点スイッチなどの信号を取り込みます。
調べると各ピン信号を設定で自由に割り振れたりと、画面は複雑ですが非常によくできたソフトでしょう。取り説よんでいくといろんな機能がつまっています。よくわからない機能もいっぱいあるけど。
ただレガシーポートといわれるパラレルポートが必要でUSB版はなし。変換ケーブルでもだめだそうです。今のPCはシリアル、パラレル共についてないものが大多数。これが難点ですね。(2/25/08)
500行まではフリー使用できます(250行の場合もあるとか)。500行だと加工量だと結構小さなものですが。
本格的に現場で工作機械の制御目的につくられたようです。導入前に使用パソコンで使えるかテストするソフトもありますが。(疑問に思うんですがWindows採用してますが、現場で本格使用に使うとき、どんなタスクが動いてるかわからないマルチタスクのOSに、加工の制御をずっと任せっきりって怖くないかな)

Windows採用してるおかげでわれわれアマチュアが気軽に使うことができるのは、そしてフリー使用も提供してくれてるのは感謝!


CAMソフト

図面を入れるとその加工用Gコードを出してくれるソフトですが、これもフリーソフト提供してくれているものがあります。
Gコードで加工プログラム作るのは自分でもできますが、直線ばっかりの切削でもなければ、NCフライス盤で加工するにはCAMは必要になります。
常用させてもらってるCAMソフト

NCVC

見た感じすごいソフトですね。加工プログラムの軌跡がいろんな方向から表示できます。

フリーなので当然複雑な自動生成機能はありませんが、手動で補助的に設定したりと自由度のあるつくりで慣れると使いやすいです。
フリーソフトの世界もすごいもんですね。CAMまであるんだから。アマチュア 力すごい


CADソフト

NCフライスで加工するものを図面で描く必要があります。
CADはいろんなソフトがあり、好みや慣れもありますが、DXFという標準形式のファイル形式が出力できればCAMで読み込み、加工プログラムにできます。

CADソフトは慣れたものが一番いいようですが、
フリーソフトはJWCADが圧倒的に有名で、使用されつづけてています。

今、花子を主に使っていますが、花子でもDXF形式は可能

花子はJustSystemのソフトもっているとバージョンアップのとき格安セットで購入できる。(主に一太郎からのアップでしょうね) 知らない間に持ってることになるソフトなんですが、使い慣れるとドローソフトとして全般にかなりの機能があり、イラスト、CAD、お絵かき、地図、回路図などに使えて持ってると役立つお得なソフト。

作品加工

バックラッシュ、テーブルの水平度、垂直度を調節、ソフトでもバックラッシュ調整し0.1mm以内に収まりました。仮に高精度に詰められたとしても、こういう剛性だとスパナでゴツンとやると一発で狂ってしまうでしょう。日常の感覚ではかなりしっかりしてそうでも高精度とはそんなもんですから。

そして、仕上げに
この自作NCフライスで本格的に削った加工例

作ってもらったスピンドルですが、好意でタダでやってくれました、実際は物々交換ということに・・
その1つに、出来た機械でアクセサリーを加工すること

名前をシルバープレートに切削しピアスにしました。
エンドミル刃がとがった斜め刃のものなので、Z軸の微妙な切り込み深さで簡単に文字の線太さが変わり、この機械の精度ではいろいろ試すと漢字なら3×3ミリ文字が限界のようです。

バックラッシュを機械とソフトでいっぱいまで調整して
Z軸の再位置決め精度が0.1mm以内にできるというところなので、この仕様ならまあ上出来だと思います。
こういう図面を書きます
CADに文字を入力して図面に変換します(花子)
そのままでは外枠文字になり線が太く大きくなるので、線の文字にせっせと書き直す
そしてDXFに変換しました

それをNCVCで加工プログラムに。
そしてMachで読み込んで実行して切削。
試し切削しながら加工プログラムを微調整

銀価格も高騰してるので、アルミ板で練習^^ 
何度もプログラム調整してやってみた

これを銀板に彫り、プレートの形になる外枠はグルグルと少しずつ深さを下げて何周も1mmエンドミルで枠を抜かないよう板厚ギリギリまで外周溝で切削し、最後に穴を開けます。(工具交換3回)

この行程を全部1プログラムでやると、Machの500行制限をこえるので、漢字切削 と 外周溝と穴 は別プログラムで^^;
外径をグラインダーで綺麗にして
表面は鏡面仕上げをして出来上がったのがコレ。
(なんども銀板で失敗してますが)

3ミリ角ぐらいの文字です。

この後、いぶしを入れましたが、溝が浅く磨くととれる。。

出来上がって と 思ったんですが。。。旋盤師匠のところにはもっと高精度のマシニングセンタあるんだから、そっちで削ったらいいんでは? と・・・

     そういう問題でない、中途半端な自作機の精度の味がこの文字に込められてるんデス(^^


さらに第3弾作りました。。。。
今度はもう少し大きめにして、フォント文字で外周切削し、文字にいぶしを軽く入れて味を出しました。
デザインもちょっと大人風^^)
隣が百円ライターです
自分で機械作っていながら、なかなか細かい加工が出来るもんですね・・と思う

CAMの出す途切れ外形ラインでは線、点が多すぎ、行程が増えて加工が長すぎるので、せっせとつないで修正するのに手間暇かかった
主軸をACモータに変更しています。

動画、画像が粗めですが、アップの切削はそれなりみ見ることができます



最後に

いろいろ過程を記事にしようと思ってたんですが、いつもながら、作りながら記事にしないと終了後では後ろ向きの作業のようで力がはりませんでした。

NCフライスへの道を振り返った記事になりましたが、どうだったでしょうか。初めて見た人は自作の機械で加工品の出来上がりの細かさに驚いたのでは?
NCフライスはやっぱり、これを改良して2台目を作ってみたくなり、それでもっと良い改良ができそうに思います。

市販品を改良し、モーター制御にするだけならもっと簡単にできます。それを動かしてみると、誰しも最初は驚くでしょう。興味もった人は是非挑戦してください。簡単にはいきませんが機械加工の知識が自然と広がり制作物が飛躍的にひろがります。

NCフライス製作には諸先輩がいっぱいいました。そんな方々にいろんな助言をいただけたので、使えて遊べるNC機ができあがり、機械加工にも大変役立ちました。みなさんありがとうございました。


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